
【今回の裁判で最も注目したい点】
【令和2年判決の判断基準に照らせば、本件選挙は違憲である】
前回参院選(2019)を対象とした令和2年大法廷判決(参)(以下、令和2年判決)は、当該選挙時に投票価値の不均衡は是正されていないが、「較差の是正を指向する姿勢が失われ」ていないことを根拠として、「当該選挙は違憲状態ではない」旨判断しました。
「平成26年選挙制度協議会報告書」および「平成30年参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会報告書」は、【各会派が、該参議院選挙制度改革という項目について、11ブロック制などの具体的な改革試案を提示するなど、改革の実現に向けての議論したこと】が記述されていました。しかし、令和3年設置協議会に関する令和4年参議院改革協議会報告書は、タイトルから「選挙制度」という文言が抜け落ち、また、過去2回の協議会で行われた各会派の提示する具体的な改革案に関して、結論を得るための議論が行われたとの記述はなくなっています。
このことから、参議院においては、「較差の是正を指向する姿勢が失われ」たと解されます。
参議院において「較差の是正を指向する姿勢が失われ」た以上、令和2年判決の判断基準に照らせば、本件選挙は違憲です。
【令和2年判決の判断基準に照らせば、本件選挙は違憲である】
前回参院選(2019)を対象とした令和2年大法廷判決(参)(以下、令和2年判決)は、当該選挙時に投票価値の不均衡は是正されていないが、「較差の是正を指向する姿勢が失われ」ていないことを根拠として、「当該選挙は違憲状態ではない」旨判断しました。
「平成26年選挙制度協議会報告書」および「平成30年参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会報告書」は、【各会派が、該参議院選挙制度改革という項目について、11ブロック制などの具体的な改革試案を提示するなど、改革の実現に向けての議論したこと】が記述されていました。しかし、令和3年設置協議会に関する令和4年参議院改革協議会報告書は、タイトルから「選挙制度」という文言が抜け落ち、また、過去2回の協議会で行われた各会派の提示する具体的な改革案に関して、結論を得るための議論が行われたとの記述はなくなっています。
このことから、参議院においては、「較差の是正を指向する姿勢が失われ」たと解されます。
参議院において「較差の是正を指向する姿勢が失われ」た以上、令和2年判決の判断基準に照らせば、本件選挙は違憲です。
目次
過去の1人1票裁判
→ 一人一票(2009衆院)裁判
→ 一人一票(2010参院)裁判
→ 一人一票(2012衆院)裁判
→ 一人一票(2013参院)裁判
→ 一人一票(2014衆院)裁判
→ 一人一票(2016参院)裁判
→ 一人一票(2017衆院)裁判
→ 一人一票(2019参院)裁判
→ 一人一票(2021衆院)裁判
一人一票裁判とは?
→ 一人一票(2010参院)裁判
→ 一人一票(2012衆院)裁判
→ 一人一票(2013参院)裁判
→ 一人一票(2014衆院)裁判
→ 一人一票(2016参院)裁判
→ 一人一票(2017衆院)裁判
→ 一人一票(2019参院)裁判
→ 一人一票(2021衆院)裁判
一人一票裁判とは?
平成24年、26年大法廷判決
平成29年、令和2年大法廷判決
本件選挙
平成24(2012)年~本件選挙までの10年間の、大法廷判決と参院選挙の選挙区割の変動は、下記【表1】のとおりです。
本件選挙では、有権者数較差・3倍超の選挙区が3選挙区あり、その有権者数は2107万3091人 に達しています。
議員1人当たりの有権者数:
福井県選挙区(最小選挙区)・・・317,564人
神奈川県選挙区(最大選挙区)・・・962.098人(3.03倍)
宮城県選挙区・・・960,743人(3.025倍)
東京都選挙区・・・954,569人(3.006倍)
新潟県選挙区・・・933,263人(2.939倍)
福井県選挙区(最小選挙区)・・・317,564人
神奈川県選挙区(最大選挙区)・・・962.098人(3.03倍)
宮城県選挙区・・・960,743人(3.025倍)
東京都選挙区・・・954,569人(3.006倍)
新潟県選挙区・・・933,263人(2.939倍)
また、有権者数較差・2倍超の選挙区の有権者にいたっては、7804万8225人にのぼります。
地域性等を考慮することに一定の合理性があるのだとしても、それらを考慮することによって、約7800万人の有権者について2倍以上、約2100万人の有権者について3倍以上もの投票価値の不均衡を生じさせるたことの合理性の立証はありません。
地域性等を考慮することに一定の合理性があるのだとしても、それらを考慮することによって、約7800万人の有権者について2倍以上、約2100万人の有権者について3倍以上もの投票価値の不均衡を生じさせるたことの合理性の立証はありません。
【表1】
参院選/改正法 年月 |
平成24年改正法 (2012.11.26) |
平成25年参院選 (2013.7.21) |
平成27年改正法 (2015.8.5) |
平成28年参院選 (2016.7.10) |
平成30年改正法 (2018.7.25) |
令和1年参院選 (2019.7.21) |
法改正 |
令和4年参院選 (2022.7.10) (本件選挙) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
① 改正法 |
1 附則
「平成二十八年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとする。」 2 4増4減 |
1 4県2合区 2 附則7条 「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」 3 10増10減 |
1 選挙区選挙の定数・146人を定数・148人に変更。(但し、埼玉県選挙区定数が、2増加) 2 同法の審議において、参議院選挙制度改革について憲法の趣旨にのっとり引き続き検討する旨述べる附帯決議がされた。 3 比例制選挙の定数・96人を定数・100人に変更。 特定枠制導入。 |
法改正なし | ||||
|
平成26年判決 (違憲状態) 平26.11.26 |
平成29年判決 是正要求付 “違憲状態ではない” 平29.9.27 |
令和2年判決 是正要求付 “違憲状態ではない” 令2.11.18 |
|||||
③ 有権者数最大較差(倍) | 4.769 | 3.077 | 3.002 | 3.030 | ||||
|
17 | 1 | 1 | 3 | ||||
⑤ 有権者数較差が3倍以上の選挙区の全有権者数(人) | 69,517,486 | 6,069,018 | 1,942,518 | 21,073,091 | ||||
|
31 | 21 | 21 | 21 | ||||
⑦ 有権者数較差が2倍以上の選挙区の全有権者数(人) | 89,833,058 | 78,284,911 | 78,390,809 | 78,048,225 |
本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ
原告の主張
被告(国)の主張
高裁判決(一覧)
裁判所 |
弁論期日 (2022年) |
判決期日 (2022年) |
判決文 | 結果 |
---|---|---|---|---|
大阪高裁 | 9/9(金)10:00 | 10/14(金)11:50 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
東京高裁 | 9/12(月)10:00 | 10/18(火)10:50 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
名古屋高裁 | 9/13(火)14:30 | 10/25(火)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
広島高裁 松江支部 |
9/20(火)13:30 | 10/26(水)10:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
札幌高裁 | 9/16(金)11:30 | 10/27(木)14:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
高松高裁 | 9/15(木)13:10 | 10/31(月)16:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
仙台高裁 | 9/29(木)14:00 | 11/1(火)13:30 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲違法 |
福岡高裁 那覇支部 |
9/9(金)15:30 | 11/2(水)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
福岡高裁 宮崎支部 |
9/22(木)14:00 | 11/4(金)14:30 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
広島高裁 岡山支部 |
9/30(金)15:30 | 11/8(火)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
広島高裁 | 9/20(火)16:00 | 11/9(水)13:15 | (全文) (要旨) (骨子) | 是正義務付合憲 |
名古屋高裁 金沢支部 |
9/27(火)11:00 | 11/10(木)13:30 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
福岡高裁 | 9/26(月)14:00 | 11/11(金)11:00 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
仙台高裁 秋田支部 |
9/15(木)14:00 | 11/15(火)13:30 | (全文) (要旨) (骨子) | 違憲状態 |
最高裁弁論
最高裁大法廷弁論は、令和5年9月20日(水)14:00に指定されました。
今回も13:00に最高裁正門前で0.6票君との行進があります。
お時間の許す方は是非ご参加下さい。
傍聴整理券の締め切り時刻は、13:10です。
(傍聴券の配布は最高裁南門にて)
当日の予定は今後変更される可能性があります。
当日の予定(暫定案)は、下記チラシをご参照下さいませ。
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