一人一票(2016参院)裁判

一人一票(参院)裁判

 2016年7月10日施行参院選挙(選挙区)(本件選挙)に関する、1人1票裁判が始まりました。
 今回の裁判でも、全選挙区(45選挙区)で原告が立ち、選挙の翌日(7/11)に、全14高裁・高裁支部で一斉提訴されました。
 裁判の進捗状況などは、こちらのサイトで随時ご紹介させていただきます。
 【今回の裁判で最も注目したい点】
 2013年ごろから憲法改正についての報道が徐々に増えてきました。2015年末からは、具体的な条文について、一部の国民の間で議論が始まり、今秋の国会での憲法審査会では、いよいよ国会議員による具体的な議論が始まります。
 今回の裁判で最も注目したい点は、
 【裁判所は、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を許すのか否か】です。

過去の1人1票裁判

本件選挙とは?

憲法は、国民主権(国政は、国民の多数意見に基づいて決める。下左図を参照)と定めています。
ところが、本件選挙は、
人口の40%(41,794,244人)が国会議員(選挙区選挙)の過半数を選び、
人口の60%(62,312,577人)が国会議員(選挙区選挙)の半数未満を選びます(下右図を参照)。
つまり、本件選挙は、非人口比例選挙です。
非人口比例選挙で選ばれた国会議員は、国民の少数から選ばれた人たちなので、彼らの行う国会活動(法律の制定、憲法改正発議、内閣総理大臣選出)は、国民の多数意見に基づくものではありません。
非人口比例選挙で選ばれた国会議員は、国会活動(法律の制定、憲法改正発議、内閣総理大臣選出)を行う民主的正統性がありません(平成26年大法廷判決の5名の判事〈① 櫻井龍子;② 金築誠志;③ 岡部喜代子;④ 山浦善樹;⑤ 山﨑敏充の5名〉の補足意見参照)。
平成24年及び26年最高裁大法廷判決(参)

平成24年及び26年最高裁大法廷判決(参)

(1)平成24年10月17日最高裁大法廷判決(以下、「平成24年大法廷判決」という)は、下記1のとおり、【『投票価値の平等』に関する、2つの憲法上の基準】、即ち、

①「参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難い」(同判決文11頁下10~下7行)
②「これ(都道府県。引用者注)を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はな(い)」 (同判決文11頁下2行~12頁3行。)
を示しました。
記1
平成24年大法廷判決11頁下11行~12頁3行
「さきに述べたような憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。昭和58年大法廷判決は、参議院議員の選挙制度において都道府県を選挙区の単位として各選挙区の定数を定める仕組みにつき、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることに照らし、都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させる意義ないし機能を加味しようとしたものと解することができると指摘している。都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという点は今日においても変わりはなく、この指摘もその限度においては相応の合理性を有していたといい得るが、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない。」(強調 引用者)
(2)平成26年11月26日最高裁大法廷判決(以下、「平成26年大法廷判決」という)も、下記2の通り、同旨を述べています。
記2
平成26年大法廷判決11頁下8行~12頁4行
「殊に、昭和58年大法廷判決は、上記の選挙制度の仕組みに関して、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることに照らし、都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させる意義ないし機能を加味しようとしたものと解することができると指摘していたが、この点についても、都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという限度において相応の合理性を有していたことは否定し難いものの、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の都道府県の意義や実体等をもって上記の選挙制度の仕組みの合理性を基礎付けるには足りなくなっているものと言わなければならない。」(強調 引用者)
(3)更に、① 櫻井龍子;② 金築誠志;③ 岡部喜代子;④ 山浦善樹;⑤ 山﨑敏充の5名の最高裁判事は、平成26年大法廷判決(参院選〈選挙区〉)の判決文中で、補足意見として、下記3の通り述べています。
記3
平成26年大法廷判決20頁下9~下5行
「投票価値の不均衡の是正は、議会制民主主義の根幹に関わり、国権の最高機関としての国会の活動の正統性をえる基本的な条件に関わる極めて重要な問題であって、違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題というべきものである。」(強調 引用者)
即ち、同5名の最高裁判事は、
『投票価値の不均衡の下で行われた選挙(即ち、違憲状態)で選出された議員は、国会の活動をする正統性がない』旨
判断されています。

同5名の最高裁判事の補足意見に照らせば、違憲状態の選挙で選出された議員は、「国会活動」を行う【正統性の無い議員】でしかありません。

(4)また、平成26年大法廷判決では、下記3名の最高裁判事が、人口比例原則を明言されています。
【人口比例選挙の原則を明言された3名の最高裁判事】
①鬼丸かおる判事(平成26年大法廷判決34頁末行~35頁1行、同35頁下2~末行、他。)
②山本庸幸判事(平成26年大法廷判決55頁下12行~56頁3行、他。)
③千葉勝美判事(平成26年大法廷判決26頁下5~末行、他。)

平成23年最高裁大法廷判決(衆)

尚、住所による一票の住所差別に合理性がないことは、下記4の通り、平成23年3月23日最高裁大法廷判決(以下、「平成23年大法廷判決」という)で明確に示されたとおりです。
記4
平成23年大法廷判決9頁5~11行
「しかし、この選挙制度によって選出される議員は、いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり、相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であって、地域性に係る問題のために、殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。」(強調 引用者)

最高裁調査官による平成23年最高裁判決の解説

「衆議院議員定数訴訟最高裁大法廷判決の解説と全文」と題する論文(ジュリストNo.1428。2011.9.1 56~62頁)-岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官執筆-は、
「そして,本件選挙時における前記の較差が,既に合理性の失われた1人別枠方式を主要な要因として生じたものである以上,当該時点における本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたとの評価を免れないとされたものである。本件選挙時よりも較差自体の数値は大きかった過去の選挙について,平成11年最高裁判決①(選挙直近の国勢調査に基づく最大較差2.309倍)及び平成13年最高裁判決(選挙時の選挙人数に基づく最大較差2.471倍)は,当時の選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていないとしているが,その各時点では,なお1人別枠方式が前記の合理性を維持していたものと考えられるから,これらの先例と今回の判断とは整合的に理解することができるものといえよう4)。」(同書60頁本文右欄下11行~61頁本文左欄6行)、
4)「従来の最高裁判例において合憲性の判定における較差の数値に係る量的な基準が示されたことはなく,本判決においても,この点は同様であり,憲法の投票価値の平等の要求の制約となる要素として国会において考慮された事情にその制約を正当化し得る合理性があるか否かという質的な観点が問題とされ,1人別枠方式についてはその合理性に時間的限界がありこれによる較差を正当化し得る合理性は既に失われたと判断されたものであって,単純に較差の数値のみから直ちに合憲・違憲の結論が導かれるものではないと解される(本判決は,区画審設置法3条1項所定の区割基準につき,「投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたものということができる」と判示しているが,これが最大較差2倍という数値を画一的に量的な基準とする趣旨のものでないことも,その前後の説示の内容等から明らかであるといえよう)。」(強調 引用者)
と記述します。
岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官は、あくまでも、
「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙)が、基準(ベース)であって、もし仮に、「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離がある場合は、憲法上、『その「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離を正当化するために国会で考慮された事情に、当該乖離を正当化し得る合理性があることが、必要である』、(同論文・61頁脚注4)の第一文・前半部分)と解しています。

「10増10減」改正法

ところで、「10増10減」改正法の下で行われた本件選挙は、
  • (ⅰ) 2つの合区を除いては、都道府県を選挙区の単位として行われ、かつ
  • (ⅱ) 選挙区間における人口の最大較差は、3.069倍であり、
【最大選挙区(埼玉):988,965人、最小選挙区(福井):322,224人)】
これを投票価値に換算すると、福井県選挙区を1票とすると、埼玉県選挙区の1票の価値は、0.33票です(下記- 本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ 参照)。
よって、平成24年大法廷判決および平成26年大法廷判決の【『投票価値の平等』に関する、2つの憲法基準】、および平成23年大法廷判決に照らし、本件選挙は、憲法の投票価値の平等の要求に明らかに反している、と解されます。

本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ

【本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表】

選挙制度を改革せずに、非人口比例選挙を可能にする憲法改正を目指す与党
~平成26年12月26日付選挙制度協議会報告書が示すもの~

(1)下記1は、平成26年12月26日付選挙制度協議会報告書(座長:伊達忠一)の抜粋です。(同報告書PDF: http://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/kentoukai/pdf/senkyoseido-houkoku-n.pdf
記1

(2)同報告書によれば、平成24年大法廷判決後も尚、第22回協議会(平成26年7月9日)において、唯一、自民党のみが、「2倍を超える最大較差は許容されるか。」との問いに、「○」と回答しています。
(3)同報告書によれば、公明党、日本維新の会、社会民主党は、平成24年大法廷判決を受け、11ブロック制を提案しました。しかしながら、自民党は、相変わらず都道府県を基準とする選挙区割りに固執し、2県合区を含む都道府県選挙区制を提案し、民主党も、自民党案を基本とした議論をしました(下表1及び下記2参照)。
表1
記2

本件選挙の違憲状態判決で、国民主権を否定する憲法改正発議が可能になる
~「10増10減」改正法の附則7条 と 自民改憲案47条(非人口比例選挙条項)~

(1)「10増10減」改正法の附則7条
「10増10減」改正法の附則7条は、
「平成31年に行われる参議院の通常選挙に向けて、参議院のあり方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」
と定めています。
(2)自民党改憲案47条の非人口比例選挙条項
自民党改憲案47条は、人口以外の要素を勘案して選挙区を定めるものと規定しているので、明らかに、人口比例選挙を否定しています。

(3)最高裁判決に沿った内容での選挙制度改革せずに、憲法改正を試みようとする勢力

裁判所が、本件選挙裁判で、合理的期間の論理を採用して、国会の裁量権として国会にさらに是正期間を与えるとすれば、その根拠は、
①平成26年大法廷判決から、国会において、協議を行い、且つ
②附則7条において、「平成31年までに必ず結論を得る」との文言があること
の2つになると推察されます。
しかしながら、前述(-選挙制度を改革せずに、非人口比例選挙を可能にする憲法改正を目指す与党)したとおり、自民党は、現在においても、2倍を超える不平等をも許容されるとの見解をもち続け、先の協議会においても、現行憲法の下で平成24年大法廷判決に従って各党がブロック制を提案したにも拘わらず、都道府県選挙区を見直す姿勢を一切見せず、むしろ、人口比例選挙を否定する改憲をめざすと公言しています。
(4)裁判所は、法の支配の実現のために、違憲立法審査権を行使して、本件選挙につき、「違憲」判決を下し、
【日本が違憲状態の選挙で選出した議員の各院の2/3以上の賛成により、「緊急事態宣言条項付憲法を持つ国に変わること」を止める、憲法上の義務(憲法98条1項、81条、99条、76条3項)】があります。
そして、それが、最高裁長官が、平成27(2015)/5/3の憲法記念日に国民に対して、約束された、 「これからも、国民の司法に対する信頼に答えるよう、努力と工夫を続けてゆく所存である」 という言葉の意味するところでしょう。

(5)もし仮に、裁判所が、本件裁判で、違憲立法審査権を発動しないで、「違憲」判決を言渡さないとすると、日本の裁判所は、【(国会活動の正統性のない議員を含む)国会の憲法改正発議】という狂気の沙汰を阻止しないことになります。

①憲法98条1項、
②99条(裁判官の憲法尊重・擁護義務)、
③81条(最高裁の違憲立法審査権)、
④76条3項(裁判官の【憲法、法律に拘束され、良心に従って、独立して裁判する義務】
は、【(憲法81条に基づく違憲立法審査権を有する)最高裁が、(国会活動を行う正統性の無い議員を含む)国会が、憲法改正の発議を行うことを座視すること】など、およそ、予定していません。
そのようなことが起きれば、【裁判官自身が、憲法99条、76条3項に違反する】という、例えようもない【深刻なこと】が起きたということです。
もし仮に、司法が、『本参院選(選挙区)は、違憲である』と判決しないとすると、
【①(国会活動を行う正統性のない違憲状態国会議員を含む)国会(即ち、違
憲状態国会)が憲法改正の国会発議を行い、
②国民投票を経て、憲法改正が成立するリスク】があります。
もしそのような、あってはならないことが日本国民に起こるとすると、(「本件選挙は、違憲である」との判決を下さなかった)裁判官は、かかる憲法崩壊の全責任を負わなければなりません。
もし仮に、そのようなあってはならないことが起こるとすると、司法自らが、三権分立を否定することになります。

君塚正臣横浜国大教授論文(判例時報2296号148頁)

君塚教授は、平成27年最高裁大法廷判決の評釈として、以下のとおり述べます。
「以前から言われてきたように、合憲性判断基準としての「2倍」に憲法上の根拠は希薄であろう。選挙権が憲法の基本である民主主義・立憲主義の根幹であるとすれば、その侵害、不平等はおよそ許されず、本来、一人一票が基本である。これが現在、圧倒的に有力である。 司法審査基準としても厳格審査基準が当然であり、やむにやまれぬ目的と必要最小限度の手段(較差)であることを国側が示すべきである。・・・(略)・・・選挙権が民主主義や立憲主義の根幹であることに鑑み、違憲であるときには原則としてその宣言は必要である。」(強調  引用者)
1人1票原則を肯定する論文が、判例時報という権威ある法律雑誌に掲載されたことは、大きな意味があると考えます。
本件選挙の判決が、 1人1票原則(人口比例選挙の原則)を明言することに、大いに期待しています。

高裁期日・判決(結果)

期日日程については、こちら↓のチラシをご参照下さい。



高裁判決(一覧)

裁判所 対象選挙区 判決期日
(2016/H28年)
判決文 備考
広島高裁岡山2民
(松本清隆裁判長)
岡山県選挙区 10/14(金)16:00 (全文) (要旨) (骨子)
名古屋高裁金沢支部
(内藤正之裁判長)
富山県選挙区、
石川県選挙区、
福井県選挙区
10/17(月)15:00 (全文)(要旨) (骨子)
高松高裁2民
(吉田肇裁判長)
徳島・高知選挙区、
香川県選挙区、
愛媛県選挙区
10/18(火)13:10 (全文)(要旨) (骨子)
東京高裁19民
(小林昭彦裁判長)
茨城県選挙区、
栃木県選挙区、
群馬県選挙区、
埼玉県選挙区、
千葉県選挙区、
東京県選挙区、
神奈川県選挙区、
新潟県選挙区、
山梨県選挙区、
長野県選挙区、
静岡県選挙区
10/18(火)15:00 (全文) (要旨) (骨子)
福岡高裁宮崎支部
(西川知一郎裁判長)
宮崎県選挙区、
鹿児島県選挙区
10/19(水)11:00 (全文)(要旨) (骨子)
仙台高裁秋田支部
(山田和則裁判長)
秋田県選挙区 10/19(水)14:30 (全文) (要旨) (骨子)
大阪高裁5民
(中村哲裁判長)
滋賀県選挙区、
京都府選挙区、
大阪府選挙区、
兵庫県選挙区、
奈良県選挙区、
和歌山県選挙区
10/20(木)14:00 (全文)(要旨)  (骨子)
福岡高裁那覇支部
(多見谷寿郎裁判長)
沖縄県選挙区 10/20(木)14:00 (全文)(要旨) (骨子)
広島高裁松江支部
(栂村明剛裁判長)
鳥取・島根県選挙区 10/26(水)10:30 (全文) (要旨) (骨子)
広島高裁4民
(森一岳裁判長)
広島県選挙区、
山口県選挙区
10/28(金)14:00 (全文)(要旨) (骨子)
福岡高裁3民
(金村敏彦裁判長)
福岡県選挙区、
佐賀県選挙区、
長崎県選挙区、
熊本県選挙区、
大分県選挙区
10/31(月)11:00 (全文)(要旨)(骨子)
札幌高裁2民
(佐藤道明裁判長)
北海道選挙区 11/2(水)13:10 (全文) (要旨) (骨子)
仙台高裁3民
(市村 弘裁判長)
青森県選挙区、
岩手県選挙区、
宮城県選挙区、
福島県選挙区、
山形県選挙区
11/7(月)15:00 (全文) (要旨) (骨子)
名古屋高裁2民
(孝橋宏裁判長)
愛知県選挙区、
岐阜県選挙区、
三重県選挙区
11/8(火)16:00 (全文)(要旨) (骨子)

最高裁弁論


最高裁弁論傍聴イベント告知

最高裁大法廷弁論期日:
平成27年7月19日(水)午後1時30分。
快晴。猛暑。 午前中は山口弁護士グループの弁論が行われ、午後1時30分から、全国弁護士グループの弁論が行われました。

80名ほどの傍聴人が、弁論を見守りました。

原告側からは、
升永英俊弁護士、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士、原告本人、の4名が意見陳述されました。

被告側からは、舘内比佐志指定代理人が弁論されました。

弁論後、霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見が行われました。

会見の模様は、IWJさまが公開してくださっています。 とても有り難いです。

【升永英俊弁護士「違憲状態の選挙で当選した『違憲状態国会議員』。『違憲国会議員』が立法したり、憲法発議することは憲法は予定していない」―人口比例選挙を求める「1人1票裁判」の最高裁弁論後の記者会見で 2017.7.19】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/391189


升永英俊弁護士
(クリックで弁論要旨全文へ)
(傍聴人によるサマリー)Ⅰ 平成26年大法廷判決(参)は、【当該選挙までの期間内に、当該投票価値の不平等が是正されなかったことが、国会の裁量権の限界を超えていない、との判断】を付加しているとはいえ、『当該選挙は、違憲』と明確に判断した確定判決である。

Ⅱ 最高裁裁判官は、少なくとも、違憲違法判決を下すよう、憲法76条3項(「裁判官は、・・・・憲法および法律にのみ拘束される」)により、義務付けられている。

Ⅲ 緊急事態宣言条項の危険
1 麻生財務大臣発言
2 ナチスは、「緊急事態宣言」を使って、ドイツを独裁
3 「あの手口」とは何か?
4 日本の1936年の2.26事件時の緊急事態勅令発令

Ⅳ 少なくとも、違憲違法判決を求める。

Ⅴ 司法権と立法権の関係の法理は、違憲である。

(Ⅰ~Ⅴのまとめ)
平成29年7月19日の口頭弁論で私が述べたいことは、『最高裁裁判官は、(最高裁大法廷が、投票価値の不平等の問題の『判断枠組み』の①の段階で、「該選挙は、違憲である」と最終的に判断した選挙で、当選した違憲状態議員を含む)国会が、憲法改正発議をすることを止めるよう、憲法76条3項(裁判所の憲法遵守義務)により、義務付けられている。』との唯一点である。

Ⅵ 10増10減は、憲法違反である。

1 本件選挙(平成28年7月10日実施の参院選〈選挙区〉)の投票価値の不平等(最大較差(人口)1対3.077)は、平成26年1月1日現在の衆院小選挙区の投票価値の不平等(最大較差(人口)1対2.109)と比べて、劣後する。
2 「10増10減」は、平成26年大法廷判決の要求する、【参院選の、都道府県を単位とする選挙制度の仕組み自体の見直し】とは、程遠いものである。


久保利英明弁護士
(クリックで弁論要旨全文へ)
(傍聴人によるサマリー)1.私が本日特に申し上げる論点
私は株主総会や取締役会の運営、会社支配権を巡る係争事件など、コーポレートガバナンスを専門とする企業法務弁護士である。公正で民主的な企業の創出にはガバナンスの確立が不可避であり、その根幹をなす株主総会の議決においては、一単元株に対し一議決権を付与する議決権の平等が原則となる。議決権に差等を設けるには特殊な定款(企業にとっての憲法)の制定が必要である。この原則は国家ガバナンスにも当てはまる。憲法の基本である国民主権・民主主義の根幹が国民の多数決である以上、国会議員の選挙についても、一票の投票価値を同一とする人口比例選挙が大原則であり、憲法にこれを変更する特則はない。憲法56条2項に定める議員の過半数による議決とは、この大原則を前提とする。企業が如何にガバナンスを守っても、国民による国家ガバナンスが歪んでいたのでは、立法、行政、司法による国力の発展は期待できない。
私が当該選挙の無効を主張するのは、憲法14条に定める「法の下の平等」違反に基づく視点からではなく、国家統治機構たる国会の正統性の見地からの主張であることを理解されたい。すなわち国家ガバナンスの基本たる国民による普通選挙を保障すべき選挙区割りが「代議制民主国家の原則たる投票価値の同一性」に違反していることが選挙の違憲無効の理由である。
本件事件において司法が「合理的期間未徒過」や「事情判決の法理」など、それ自体が憲法98条1項に反する理由により、一票の価値を1対0.33とする現状を放置することは、最高裁が国民主権を否定することである。

2.憲法改正草案
3.国会への期待は空振りに終わった
4.ナチスの手口に学んだのか、急発進した憲法改正
5.最高裁は権利の上に眠るのか
6.「AI裁判官」に負けない「人間裁判官」の真骨頂を


伊藤真弁護士
(クリックで弁論要旨全文へ)
(傍聴人によるサマリー) 被告の主張は、以下の2点に集約されると思われるが、ともに理由がないと考えるので、この点について述べた後に最高裁判所の職責について弁論する。
第1に被告は、近時の最高裁が参議院議員定数配分について違憲状態と判断した論拠は、長期間にわたり5倍前後の大きな較差が継続してきたという点にあり、5倍前後の較差が大幅に縮小されれば、その最大の論拠が取り除かれたと評価できるところ、今回の選挙当日の最大較差は3倍をわずかに超える程度にとどまったのであるから、違憲状態とする論拠がなくなったと主張する。
第2に都道府県単位の選挙制度は、今日の我が国の社会情勢下において、その意義をますます増しているため、都道府県単位の選挙制度を維持することは、憲法上許容されると主張する。この点に関しては、特に、過疎地域に住む少数者の意見を国政に反映する必要があることを理由にあげている。
いずれも誤りであることを以下、述べる。

1.5倍前後の較差を大幅に縮小することができれば違憲状態の論拠がなくなるとする点

2.参議院は地域代表的性格を維持することが憲法の趣旨に沿うものであり、過疎地域に住む少数者の意見を反映させるために投票価値を後退させてもよいとする点
(1)これまでの最高裁の考え方
(2)過疎地域の住民という地域的少数者への配慮
ア 本選挙の選挙区割りは過疎地域への配慮からなされたものではないこと
イ 都道府県単位で過疎地域への配慮をしようとすること自体が誤りであること
ウ 地域的少数者だけを選挙において優遇することは許されないこと
3.法の支配を実現するべき最高裁の職責について


原告本人
(クリックで口頭弁論全文へ)
(クリックで弁論要旨全文へ)
【口頭弁論(全文)】「投票」
オバマ前大統領の演説に、よく出てくるフレーズがございます。
「Don’t boo. Vote.」 「ブーイングは止めよう。投票しよう。」です。

原告が、“等価値の1票” にこだわる理由が、凝縮されている一言です。

民主主義は投票。そして多数決ルールです。

好む好まざるにかかわらず、日本は、憲法で、民主主義と国民主権を定めた国です。
本件裁判は、まず、潔く、この憲法を認めることから始まります。

代議制民主主義では、選挙は、
主権者である私が、権利として、国政に対する影響力 を行使できる“唯一”の機会です。
言い換えれば、私は、選挙でしか、国政に関する意思決定権 を行使する機会がありません。国民にとって、「投票」、選挙が全てです。

代議制民主主義では、
国会議員の頭数による厳格な多数決で立法が行われ、
国会議員の頭数による厳格な多数決で選ばれた内閣総理大臣が、行政を仕切ります。

だからこそ、私を含め、国民は、自らの意思が、“国会で多数派”となり、国政に反映されるべく、選挙権を行使しています。選挙は、立候補者同士の戦いだけではありません。

ところが、私は、生まれて一度も、憲法の保障する“全国民での等価値の1票”を投票できたことがありません。

日本に、国民主権、投票価値の平等を謳う憲法があるにも拘わらずです。

私の意思が、有権者の頭数では多数派となっても、選挙権が0.35票分しかないために、国会では多数派となりません。

この不条理が、選挙のたびに、繰り返されてきました。

国は、過疎地への配慮と主張しています。しかし、(資料2) でお示ししたとおり、本件選挙で北海道の国民は、0.43票分しか投票できていません。

国にお尋ねします。利尻は過疎地ではないのでしょうか?
このような事実に基づかない主張は、この法廷に相応しくありません。

国の政策に反映させるために、弱者の声を含め、広く国民の意見を聞くのは、あくまで、議論の段階で、行われるべきものです。

国会議員を選ぶ段階で、主権者、一人一人の、1票の価値を歪めることによって実現することではありません。このようなことは極当たり前のことです。

「違憲」
国は、意図的に「1.99倍」の立法を繰り返し、乙10で示すとおり、今後その方針を改めるという意思表示もありません。
本件裁判でも、福井の国民が1票で、利尻の国民が0.43票であることの合理性について、具体的な立証は一切ございませんでしたので、本件選挙区割りは違憲です。

「違憲」は無効
そして、白線の外側に落ちたボールを「アウト」ではなく「アウト状態」といってポイントを有効にするような判決もまた、法が支配するこの法廷には相応しくありません。

(資料9)でお示ししましたとおり、オーストリアの憲法裁判所は、昨年5月の大統領選挙について、「形式的なミス」があったとして、選挙無効判決を言い渡し、大統領選挙は、やり直しとなりました。

また、(資料10)でお示ししましたとおり、米国でも今年の5月に連邦最高裁が選挙区割りを違憲判断し、区割りのやり直しを命じています。

どの国でも、三権がお互いに牽制し合い、戦っています。

独裁を防ぐためです。

法の支配が機能しなければ、選挙で独裁は防げません。

「民主主義は何もしなければなくなっていくもの」
市民なくして民主主義なしと言われますが、また、法律家なくして民主主義なしです。

本法廷では、既に、鬼丸裁判官、山本裁判官が1人1票の原則を明言されています。私はこのお二人の法律家の存在を、国民として大変誇りに思っております。

あと6名の裁判官が加われば1人1票判決です。
多くの国民が、投票権の侵害を回復し、国会議員に民主的正統性が生まれ、日本が、国民主権、民主主義、法の支配の国になります。

過ちては 改むるに 憚ることなかれ。(論語)
過ちは、正すことを拒否したとき、初めて過ちとなる。(英米故事)

戦後70年、今、私たち、原告、国、裁判所が共にすべきことは、民主主義を学び、自らの手で、民主国家をつくることです。

今、“これぞ、日本の正義である”と言う判決、つまり、1人1票判決を、示して下さい。

国側の弁論要旨書 (全文)PDF弁論要旨2頁11~20行
「 参議院においては、国民の多数の意見ばかりではなく、例えば、山間部などの過疎地域に居住する方々の声をも適切に反映させた施策を行うことなどもまた、重要な役割であります。介護の問題を例にとってみても、我が国全体としては、介護施設の数を増やし、介護職員の待遇を良くすることで、介護サービスの充実を図ることは重要でしょう。しかし、介護施設などが経営上維持できず、存在しないような過疎地に居住する高齡者の方々の悩み、例えば、日々の食料等の生活必需品の入手手段をどのように確保するのか、病気で伏せっていないかなど定期的な見守りをしてほしいといった悩みは、国民の多数の意見に従って、介護施設の数を増やし、介護職員の待遇を良くしても、何ら解消されるものではありません。」

最高裁判決

最高裁大法廷判決期日は、平成29年9月27日(水)午後3時に指定されました。

裁判所は、民主政治における投票価値の不平等の問題を喫緊の解決課題と位置づけており、判決文においても国に対し「速やかな」抜本的対応を求めていますが、国会は弥縫策を重ねる対応が続きました。

国際情勢は非常なスピードで変化し、国は常に敏速な対応が求められ、そのための国家権力の行使を日々行っています。

しかし、現在の選挙区選出議員(衆参)はいずれも、投票価値の不平等が違憲状態と最高裁が判断した選挙で選ばれた違憲状態議員です。

配布用判決チラシはこちら  ↓

【ちらしを拡大】

違憲状態判決は平成23年大法廷判決から5年連続、5回出ています。
今回、最高裁が6回目の違憲状態判決を出す意味はありますか?

最高裁は、憲法の番人として、国会議員の国家権力の行使に民主的正統性に疑義が伴うような国をこれ以上放置することのないよう、少なくとも今回の裁判で違憲判決を出す必要があります。

違憲判決が出れば、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を行うという憲法の予定していない事態を防ぐことができるでしょう。

今回の裁判で最も注目したい点は、
 【裁判所は、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を許すのか否か】です。

大法廷判決では、どの裁判官が一人一票に賛成なのか、どの裁判官が一人一票を認めたとは言えないかが明らかになります。

一人一票を望む私達主権者は、この最高裁大法廷判決で示される、一人一票に関する各最高裁判事の個別意見の情報に基づき、次回の国民審査を行うことになります

(「切り抜き」国民審査」とは?)

*鬼丸 かおる裁判官は、
平成25年判決(衆)で、平成26年判決(参) 、平成27年判決(衆)の個別意見で、1人1票の原則を認められています。
但し、平成25年判決(衆)では、合理的期間による国会の裁量権を認め、結論は違憲状態の多数意見に賛同しました。その後の平成26年判決(参)、平成27年判決(衆)では、合理的期間は既に徒過したとして、当該選挙は違憲違法であると判断されています。
*山本 庸幸裁判官は、
平成26年判決(参)で、1人1票の原則を認めた上で、当該は選挙無効と判断されています。

*岡部 喜代子裁判官及び*山﨑 敏充裁判官 は、
平成26年判決(参)の補足意見で、「投票価値の不均衡の是正は、議会制民主主義の根幹に関わり、国権の最高機関としての国会活動の正統性を支える基本的な条件に関わる極めて重要な問題」と述べ、「違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題と言うべきものである」と述べられています。
両裁判官は、本件投票価値の不均衡の問題が喫緊の重要課題であると明言した以上、前回判決から1年8ヶ月が経過した後も尚、その問題が解決しているとは言えない本件選挙につき、合理的期間を徒過しているとし、違憲違法と判断する可能性は十分予測できます。


【サポーター活動のご案内 ~ 判決日当日の流れ(予定)】
13:30頃 三宅坂小公園 集合(記念撮影)

13:45頃 裁判所前パレード(0.6票君&しんさ君と一緒)

14:00頃 傍聴整理券配布〆切(予定?)

傍聴人が多い場合、抽選となります。
傍聴整理券配布開始時間及び〆切り時間は、追って最高裁より発表されます。(傍聴整理券配布〆切時間は、およそ判決の1時間前ぐらいと予想されます。)
→ 抽選になった場合、整理券配布〆切後直ちに抽選となり、当選の方々は、裁判所の指示に従い裁判所内へ。法廷内は、①貴重品と②筆記用具しか持ち込めません。 カバンはロッカーに預けることになります。

- 開廷のおよそ15分前には着席 -

15:00~ 最高裁大法廷判決言渡し

15:15頃 終了予定

16:00頃? 旗だし(最高裁正門前にて)予定

→ 旗だし後、弁護士グループは、司法記者向けの記者会見のため、東京高裁の司法記者クラブへ移動。(記者会見)

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