1人1票裁判(2021衆院)

一人一票(参院)裁判


2.079倍の投票価値の不平等があった本件選挙は違憲であるとの判決を求めています
判決全文 判決骨子 個別意見要旨

2021年10月31日施行衆院選(小選挙区)(本件選挙)に関する1人1票裁判が始まりました。
今回の裁判でも、全289小選挙区で原告が立ち、選挙日の翌日(11/1)に、全14高裁・高裁支部で一斉提訴されました。
本件選挙は、前回(2017年)選挙と全く同じ選挙区割りで行われました。
国は、「1人別枠制」の廃止を要求した平成23年、同25年、同27年大法廷判決に基づき、平成28年改正法(人口比例配分方式の一つであるアダムズ方式採用)を成立させましたが、同改正法は、2020年国勢調査の結果に基づく定数再配分を定めたものであるため、前回(2017年)選挙と本件(2021年)選挙の時点では、施行されておらず、本件選挙も、前回選挙同様、平成27年大法廷判決が違憲状態と判断した2014年選挙の選挙区割りから、わずか6県において各1議席ずつ減らしただけの不十分な是正しかなされなかった区割りの下で行われ、11県においてはアダムズ方式により配分される定数と異なる定数配分で選挙が行われました。
従って、本件選挙も、前回選挙も、1人別枠制が廃止されたと評価できるものではありません。
平成23年、同25年、同27年大法廷判決は、 1人別枠制の廃止を求めました。従って、1人別枠制が部分的に維持されたままの本件選挙は、違憲判断を免れないと解されます。

投票価値が不平等な選挙では、人口の多数が国会議員の多数を選ぶ保障がありません。人口の少数が、国会議員の多数を選び得るのです。
そして、そのような選挙で選ばれた国会議員が、多数決で法律を作り、総理大臣を選んでしまうために、
 結局、少数の国民の意見が立法を決定し、総理大臣を決定することがあり得、国民の多数意見に基づき国政を決定するという憲法理念に反する国の意思決定がなされ得るのです。
 このような事態は、憲法1条、前文第1文の国民主権に反します。

 【今回の判決で注目したい点】
①本件選挙では、下記の通り、前回選挙より投票価値の不均衡の状況が悪化したことに対する判断
(A) 有権者数最大較差が、前回選挙(平成29年選挙)での1.979倍から2.079倍に拡大し、且つ
(B) 有権者数最大較差・2倍以上の小選挙区数が、0個から29個に増加し、前回選挙で0人だった有権者数較差・2倍以上の選挙区の有権者が、本件選挙では1360万8795人 に達した。

選挙年
(衆院小選挙区)
平成21年選挙
(2009)
平成24年選挙
(2012)
平成26年選挙
(2014)
平成29年選挙
(2017)
本件選挙
(2021)
①有権者数最大較差 2.304 2.425 2.129 1.979 2.079
②有権者数最大較差が2倍を超えた選挙区数 45 72 13 0 29
③最高裁大法廷判決 平成23年判決
違憲状態
平成25年判決
違憲状態
平成27年判決
違憲状態
平成30年判決
違憲状態
ではない
④有権者数較差が2倍を超えた選挙区の全有権者数 2014万
6327人
3162万
7811人
616万
2549人
0人
1360万
8795人

② 本件選挙では、有権者数最大較差が前回選挙より悪化し、2.079倍となり、「新区画審設置法」3条1項の「二以上を許容しない」との趣旨・目的に反したことに対する判断
 衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成6年法律第3号)は、平成28年法律第49号(平28・5・27)により改正され、旧3条1項の「二以上とならないようにすることを基本とし、」(赤字 引用者)の文言の中の「を基本」が削られ、「その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることとし、」(下線 引用者)との文言に改正されました。
「新区画審設置法」 3条1項は、「その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上」となることを許容しない、と解されます。
 本件選挙では、有権者数最大較差が前回選挙より悪化し、 2.079倍となり、「新区画審設置法」3条1項の「二以上を許容しない」との趣旨・目的に反すると解されるので、本件選挙は違憲と判断するのが相当である。

③ 本件選挙で、有権者数較差・2倍以上の29小選挙区の有権者・1360万8795人は、 「新区画審設置法」3条1項の趣旨・目的に反しての選挙権の制限という不当な権利侵害を被った。他の国民の半分の投票権しか認められなかった国民(主権者)に対する司法救済に対する判断
 裁判所は、一人の国民が不当に権利を侵害され、提訴した場合、憲法32条、76条3項、99条に基づき、この一人の国民を司法救済する義務を負う。
 本件選挙の場合、1360万8795人 が、「新区画審設置法」3条1項の趣旨・目的に反しての選挙権の制限という不当な権利侵害を被った。裁判所が、本件裁判で、少なくとも、違憲状態判決を言渡すことにより、同1360万8795人(但し、上告人〈原審原告〉らを含む)は、全員、違憲状態判決言渡しの限りにおいて、同違憲状態判決から生じる反射的利益を受けるので、結果として実質的に司法救済される。
 従って、裁判所は、本件裁判の判決で、憲法32条、76条3項、99条に基づき、少なくとも、『本件選挙は、「違憲状態」である』旨判示するべきであり、その義務を負う。

④ 【裁判所が、従来の最高裁判例に従った「違法判断の基準時」による判断を行うか否か】
 平成30年大法廷判決(2017年衆)は、 「違法判断の基準時」を選挙時とする昭和51年、同60年の大法廷判決の解釈と異なり、選挙後の事情(将来の予測)を考慮して、当該選挙を違憲状態ではないと判断しました。しかし、平成30年大法廷判決には、昭和51年大法廷判決以来の最高裁判例の解釈と異なる解釈をしたこと、および異なる解釈を行った理由が付されていない。
 理由の記載のない解釈変更は、不当な判例変更にあたり、先例としての拘束力はない。
 従って、平成30年判決は先例としての拘束力はなく、本件選挙は、平成27年、平成25年、平成23年大法廷判決の判示に従い、違憲状態であると判断することになるはずである。

過去の1人1票裁判

平成23年最高裁大法廷判決(衆)

平成23年3月23日最高裁大法廷判決(以下、「平成23年大法廷判決」という)は、下記の通り、住所による一票の住所差別に合理性がないこと明確に判示し、選挙区間の投票価値の較差を生じさせる主要な要因となる1人別枠方式の廃止を求めました。

(判決文9頁2行~12頁下7行)
「他方、同条2項においては、前記のとおり1人別枠方式が採用されており、この方式については、前記2(3)のとおり、相対的に人口の少ない県に定数を多めに配分し、人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させることができるようにすることを目的とする旨の説明がされている。しかし、この選挙制度によって選出される議員は、いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり、相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であって、地域性に係る問題のために、殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。(略)加えて、本件選挙区割りの下で生じていた選挙区間の投票価値の較差は、前記2(5)のとおり、その当時、最大で2.304倍に達し、較差2倍以上の選挙区の数も増加してきており、1人別枠方式がこのような選挙区間の投票価値の較差を生じさせる主要な要因となっていたのであって、その不合理性が投票価値の較差としても現れてきていたものということができる。そうすると、本件区割基準のうち1人別枠方式に係る部分は、遅くとも本件選挙時においては、その立法時の合理性が失われたにもかかわらず、投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすものとして、それ自体、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたものといわなければならない。そして、本件選挙区割りについては、本件選挙時において上記の状態にあった1人別枠方式を含む本件区割基準に基づいて定められたものである以上、これもまた、本件選挙時において、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたものというべきである。 (略)
国民の意思を適正に反映する選挙制度は、民主政治の基盤である。(略)衆議院は、その権能、議員の任期及び解散制度の存在等に鑑み、常に的確に国民の意思を反映するものであることが求められており、選挙における投票価値の平等についてもより厳格な要請があるものといわなければならない。したがって、事柄の性質上必要とされる是正のための合理的期間内に、できるだけ速やかに本件区割基準中の1人別枠方式を廃止し、区画審設置法3条1項の趣旨に沿って本件区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要があるところである。」

最高裁調査官による平成23年最高裁判決の解説

「衆議院議員定数訴訟最高裁大法廷判決の解説と全文」と題する論文(ジュリストNo.1428。2011.9.1 56~62頁)-岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官執筆-は、

「そして,本件選挙時における前記の較差が,既に合理性の失われた1人別枠方式を主要な要因として生じたものである以上,当該時点における本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたとの評価を免れないとされたものである。本件選挙時よりも較差自体の数値は大きかった過去の選挙について,平成11年最高裁判決①(選挙直近の国勢調査に基づく最大較差2.309倍)及び平成13年最高裁判決(選挙時の選挙人数に基づく最大較差2.471倍)は,当時の選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていないとしているが,その各時点では,なお1人別枠方式が前記の合理性を維持していたものと考えられるから,これらの先例と今回の判断とは整合的に理解することができるものといえよう4)。」(同書60頁本文右欄下11行~61頁本文左欄6行)
4)「従来の最高裁判例において合憲性の判定における較差の数値に係る量的な基準が示されたことはなく,本判決においても,この点は同様であり,憲法の投票価値の平等の要求の制約となる要素として国会において考慮された事情にその制約を正当化し得る合理性があるか否かという質的な観点が問題とされ,1人別枠方式についてはその合理性に時間的限界がありこれによる較差を正当化し得る合理性は既に失われたと判断されたものであって,単純に較差の数値のみから直ちに合憲・違憲の結論が導かれるものではないと解される(本判決は,区画審設置法3条1項所定の区割基準につき,「投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたものということができる」と判示しているが,これが最大較差2倍という数値を画一的に量的な基準とする趣旨のものでないことも,その前後の説示の内容等から明らかであるといえよう)。」

と記述します(赤、下線、引用者)。

 岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官は、あくまでも、
「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙)が、基準(ベース)であって、もし仮に、「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離がある場合は、憲法上、『その「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離を正当化するために国会で考慮された事情に、当該乖離を正当化し得る合理性があることが、必要である』(同論文・61頁脚注4)の第一文・前半部分)と解しています。

平成28年改正法、平成29年改正法(アダムズ方式)

国会は、平成23年大法廷判決(衆)、平成25年大法廷判決(衆)、平成27年大法廷判決(衆)の示した【憲法の投票価値の平等の要求の規範=「一人別枠方式の廃止」 】に応えて、平成28年改正法、平成29年改正法を立法し、平成32年の国勢調査後に人口比例配分方式であるアダムズ方式により、各都道府県に議席を再配分することとしました。

衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)による2020年国勢調査(速報値)に基づく衆院小選挙区の区割り改正案は「 10増10減」とされ、同国勢調査(確定値)を踏まえ、2022年6月までに岸田文雄首相に新たな区割り案を勧告します。
 
具体的には、下記の「10増10減」となります。

①東京(5増)
②神奈川(2増)
③埼玉、千葉、愛知(各1増)合計10増
④宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎(各1減)合計10減

自民党からの抵抗がありますが(細田氏の提案した「3増3減」では、一人別枠制による旧区割基準が残存し、一人別枠制の影響を完全に解消させる立法措置とはならない。)、各新聞の社説は、着実な平成28年改正法の実行を求めています。

日経社説「 10増10減」の実行を確実に」(2021.12.9)
東京新聞社説「 10増10減批判 議長の発言とは思えぬ」(2021.12.29)
朝日社説「衆院10増10減 法律通りに格差是正を」(2022.1.14)
産経主張「10増10減に異論 ちゃぶ台返しは許されぬ」(20221.15)
日経社説「「10増10減」の見送りは論外だ」(2022.2.18)

本件選挙

本件選挙は、選挙当日有権者数でみると、
議員1人当たりの有権者数が最大の選挙区(東京10区)の有権者数は、479,088人、
議員1人当たりの有権者数が最小の選挙区(鳥取1区)の有権者数は、230,959人です。

最大選挙区と最小選挙区の有権者数の差は、248,129人です。

これを1票の投票価値に換算すると、

1票【鳥取1区】 対 0.48票【東京10区】です。

 選挙当日有権者数でみると、本件選挙で0.5票分の投票しかできなかった有権者は、13,603,160人(29選挙区)です。

 全有権者(105,320,523人)の「13%」にあたる13,603,160人の有権者が、0.5票未満の投票しかできていません。

原告の主張

原告の主な主張は、以下のⅠ~Ⅶです。

Ⅰ 「違法判断の基準時」の解釈基準(判例)の不当な変更: (準備書面(2) 1~3頁 参照)
平成30年の留保付き合憲判決は、昭和51年大法廷判決の採用した「違憲判断の基準時」の解釈基準(判例)を、なんら判決文で説明することなく、不当に判例変更した。

Ⅱ ①憲法56条2項;②前文第1項第1文後段と1条;③ 前文第1項第1文前段は、人口比例選挙を要求する
(準備書面(2)3~8頁;準備書面(1) 63~75頁 参照)
2009年から一貫して主張している【統治論】の議論です。

Ⅲ 国会議員主権国家
非人口比例選挙の場合は、全人口の過半数未満が選出した国会議員の過半数の意見が、全国民の過半数が選出した国会議員の半数未満の意見に対して、勝利し得る。
即ち、全国民の半数未満から選出された【国会議員の過半数】の意見が全国民の過半数の意見に勝利することが生じる。

非人口比例選挙は、国会議員主権であり、憲法の国民主権の理念(憲法1条、前文第1項第1文後段)に反する。(憲法1条、前文第1項第1文後段違反)

Ⅳ 現時点では、人口比例選挙説又は基本人口比例選挙説の憲法研究者等が36人(但し、故人を含む)であり、非人口比例選挙説の憲法研究者は0人(但し、故人を含まない)である:(準備書面(1)76~77頁; 準備書面(2)8~9頁 参照)

Ⅴ 事情判決の法理は、天使の法理である: (準備書面(1)第5章96~109頁 参照)
昭和51年大法廷判決では提訴された選挙区は千葉1区のみであったので、千葉1区の選挙を無効にすると、千葉一区の選挙みが無効となり、未提訴の他の選挙区の選挙が有効であるという、いわゆる凸凹現象という不都合は生じた。そこで、最高裁は、事情判決の法理を採用して「選挙は違憲だが、無効にしない」と判決した。
しかし、本件選挙では、①提訴された選挙区は一部の選挙区ではなく全289選挙区であるから凸凹現象は起きず、また②本件選挙は小選挙区と比例区との併用で、比例区の議員だけで衆院の定足数を満たすので、小選挙区選挙が無効となっても衆院は100%有効に国会活動を行える(昭和51年判決〈昭和47年選挙〉当時は比例区併用ではなかった。)ので、昭和51年大法廷判決が採用した事情判決の法理で選挙を無効としない事情がない。
従って、本件選挙は憲法98条1項に従って無効と判決される。

Ⅵ 憲法は、できる限り人口に比例する選挙を要求する: (準備書面(1) 133~138頁 参照)
原告は、憲法は、選挙区間の議員一人当たり有権者数をできるだけ同じにするよう(実務上可能な限り1対1になるよう)な選挙区割りを要求していると主張している。
実務上可能な限りの実例を挙げれば、米国連邦下院選挙(例えばフロリダ州)では、全27小選挙区のうち、22選挙区の議員1人あたり人口は696,345人で、残りの5選挙区の議員1人あたり人口は696,344人であり、選挙区間の人口差は1人である。(甲38)

他方、本件選挙では、選挙区間の有権者数の最大較差は248,474人である。日本と米国では、「5桁」レベルの差がある。日本の選挙区間の人口差は、異常である。

Ⅶ 一票の投票価値の平等(1人1票等価値)からの乖離が、合理的であること立証責任は、国にある: (準備書面(1)139~144頁 参照

最後に:(準備書面(1)163~168頁 参照)
1 ロバーツ現米国連邦最高裁判長官の言葉:『政治部門(即ち、米国大統領米国連邦議会)は、国民のために活動し司法は、国民のために活動するのではなく、憲法のために活動する。ロバーツ米国連邦最高裁首席判事講演録2018年10月16日(ミネソタ大ロースクール)(冒頭の発言は8:14~12:08)
2 大谷直人最高裁長官の新任判事補宛訓示:「なぜ敗訴した側の主張が採用できないか、判決の中できちんと整理して示すことが必要だ

原告準備書面及び証拠は、原告代理人升永英俊弁護士のブログ(升永ブログ)にリンクがあります。

(升永ブログ) https://blg.hmasunaga.com/2021/12/26/post-24351/

国の主張

被告は、要旨、『平成28年、29年改正法は、平成23年から同27年までに言い渡された3つの大法廷判決の内容に適合するものである。令和2年の国勢調査の結果によれば、本件選挙における選挙区間の最大較差(人口)は2倍を僅かに超える結果(2.096)となった。本件選挙当日有権者数でも2倍を僅かに超えているが(2.079)、これは、人口移動の見込みと異なる人口移動があったからであり、選挙制度自体に起因する構造的な問題が要因で2倍を超える較差が生じたわけではない。今後アダムズ方式に基づく選挙区割りの改定の勧告がされることが法律上予定されている。従って、本件選挙で2倍を超えた選挙区が一部存在しても、国会の裁量の範囲内であり、合憲である。』と主張しています。

君塚正臣横浜国大教授論文(判例時報2296号148頁)

君塚教授は、平成27年最高裁大法廷判決の評釈として、以下のとおり述べます。

「以前から言われてきたように、合憲性判断基準としての「2倍」に憲法上の根拠は希薄であろう。選挙権が憲法の基本である民主主義・立憲主義の根幹であるとすれば、その侵害、不平等はおよそ許されず、本来、一人一票が基本である。これが現在、圧倒的に有力である。司法審査基準としても厳格審査基準が当然であり、やむにやまれぬ目的と必要最小限度の手段(較差)であることを国側が示すべきである。・・・(略)・・・選挙権が民主主義や立憲主義の根幹であることに鑑み、違憲であるときには原則としてその宣言は必要である。」(強調 引用者)

原告準備書面(3)によれば、
2021年11月時点で刊行されている憲法研究者等の論文において、人口比例選挙説又は基本人口比例選挙説は36人(但し、故人を含む) 、人口比例選挙説0人(但し、故人を含まない)であり、平成21(2011)年8月~令和3(2021)年11月までの約12年間の刊行物を調べた限りでは、少なくとも衆院選について言えば、『憲法は人口比例選挙を要求しない』旨の主張を発表した憲法学者は、
結局、0人です。

*原告準備書面(3):(升永ブログ)  https://blg.hmasunaga.com/hmadmeqdd/wp-content/uploads/2021/12/a082d8ae5beb3a9b669b6e7b0c85fb88.pdf

本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ

1票価値の不平等マップ(全国)

高裁判決(一覧)

裁判所 弁論期日(2021・2022年) 判決期日 判決文   結果
札幌高裁 12/22(水)11:00 2022/2/7(月)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
仙台高裁 12/23(木)10:00 2022/2/8(火)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
仙台高裁 秋田支部 12/21(火)11:00 2022/2/15(火)13:30 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
東京高裁 12/24(金)14:30 2022/2/2(水)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
名古屋高裁 12/27(月)13:45 2022/2/16(木)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
名古屋高裁 金沢支部 2022/1/27(木)13:30 2022/2/24(木)14:30 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
大阪高裁 12/28(火)10:30 2022/2/3(木)14:30 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
広島高裁 2022/1/14(金)14:00 2022/3/9(水)14:00 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
広島高裁 岡山支部 2022/1/27(木)14:30 2022/2/10(木)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
広島高裁 松江支部 12/27(月)13:30 2022/2/16(水)13:10 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
高松高裁 12/22(水)14:30 2022/2/1(火)14:30 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
福岡高裁 2022/1/12(水)14:30 2022/2/21(月)16:00 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態
福岡高裁 宮崎支部 2022/1/19(水)15:00 2022/2/16(水)14:00 (全文) (要旨) (骨子) 留保付合憲
福岡高裁 那覇支部 2022/1/20(木)14:30 2022/2/24(木)15:00 (全文) (要旨) (骨子) 違憲状態

 

最高裁弁論

最高裁大法廷弁論は、令和4年12月14日(水)14:00に指定されました。

傍聴できる人数が通常より削減されていますが、感染対策を講じて傍聴が可能です。

当日の予定は今後変更される可能性があります。

当日の予定(暫定案)は、下記チラシをご参照下さいませ。


【チラシを拡大】

最高裁判決

最高裁大法廷判決は、令和5年1月25日(水)15:00に指定されました。

傍聴できる人数が通常より削減されることがありますが、感染対策を講じて傍聴が可能です。

当日の予定は今後変更される可能性があります。

当日の予定(暫定)は、下記チラシをご参照下さいませ。


【チラシを拡大】

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