

今回の裁判でも、全選挙区(45選挙区)で原告が立ち、選挙の翌日(7/11)に、全14高裁・高裁支部で一斉提訴されました。
裁判の進捗状況などは、こちらのサイトで随時ご紹介させていただきます。
【今回の裁判で最も注目したい点】
2013年ごろから憲法改正についての報道が徐々に増えてきました。2015年末からは、具体的な条文について、一部の国民の間で議論が始まり、今秋の国会での憲法審査会では、いよいよ国会議員による具体的な議論が始まります。
今回の裁判で最も注目したい点は、
【裁判所は、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を許すのか否か】です。
目次
- 1 過去の1人1票裁判
- 2 本件選挙とは?
- 3 平成24年及び26年最高裁大法廷判決(参)
- 4 平成23年最高裁大法廷判決(衆)
- 5 最高裁調査官による平成23年最高裁判決の解説
- 6 「10増10減」改正法
- 7 本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ
- 8 選挙制度を改革せずに、非人口比例選挙を可能にする憲法改正を目指す与党 ~平成26年12月26日付選挙制度協議会報告書が示すもの~
- 9 本件選挙の違憲状態判決で、国民主権を否定する憲法改正発議が可能になる ~「10増10減」改正法の附則7条 と 自民改憲案47条(非人口比例選挙条項)~
- 10 君塚正臣横浜国大教授論文(判例時報2296号148頁)
- 11 高裁期日・判決(結果)
- 12 高裁判決(一覧)
- 13 最高裁弁論
- 14 最高裁判決
過去の1人1票裁判
→ 一人一票(2010参院)裁判
→ 一人一票(2012衆院)裁判
→ 一人一票(2013参院)裁判
→ 一人一票(2014衆院)裁判
→ 一人一票(2017衆院)裁判
→ 一人一票(2019参院)裁判
→ 一人一票(2021衆院)裁判
→ 一人一票(2022参院)裁判
本件選挙とは?
人口の60%(62,312,577人)が国会議員(選挙区選挙)の半数未満を選びます(下右図を参照)。


平成24年及び26年最高裁大法廷判決(参)
(1)平成24年10月17日最高裁大法廷判決(以下、「平成24年大法廷判決」という)は、下記1のとおり、【『投票価値の平等』に関する、2つの憲法上の基準】、即ち、
②「これ(都道府県。引用者注)を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はな(い)」 (同判決文11頁下2行~12頁3行。)
「さきに述べたような憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。昭和58年大法廷判決は、参議院議員の選挙制度において都道府県を選挙区の単位として各選挙区の定数を定める仕組みにつき、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることに照らし、都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させる意義ないし機能を加味しようとしたものと解することができると指摘している。都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという点は今日においても変わりはなく、この指摘もその限度においては相応の合理性を有していたといい得るが、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない。」(強調 引用者)
「殊に、昭和58年大法廷判決は、上記の選挙制度の仕組みに関して、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることに照らし、都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させる意義ないし機能を加味しようとしたものと解することができると指摘していたが、この点についても、都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという限度において相応の合理性を有していたことは否定し難いものの、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の都道府県の意義や実体等をもって上記の選挙制度の仕組みの合理性を基礎付けるには足りなくなっているものと言わなければならない。」(強調 引用者)
「投票価値の不均衡の是正は、議会制民主主義の根幹に関わり、国権の最高機関としての国会の活動の正統性をえる基本的な条件に関わる極めて重要な問題であって、違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題というべきものである。」(強調 引用者)
同5名の最高裁判事の補足意見に照らせば、違憲状態の選挙で選出された議員は、「国会活動」を行う【正統性の無い議員】でしかありません。
①鬼丸かおる判事(平成26年大法廷判決34頁末行~35頁1行、同35頁下2~末行、他。)
②山本庸幸判事(平成26年大法廷判決55頁下12行~56頁3行、他。)
③千葉勝美判事(平成26年大法廷判決26頁下5~末行、他。)
平成23年最高裁大法廷判決(衆)
「しかし、この選挙制度によって選出される議員は、いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり、相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であって、地域性に係る問題のために、殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。」(強調 引用者)
最高裁調査官による平成23年最高裁判決の解説
「10増10減」改正法
- (ⅰ) 2つの合区を除いては、都道府県を選挙区の単位として行われ、かつ
- (ⅱ) 選挙区間における人口の最大較差は、3.069倍であり、
本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表&全国マップ
【本件選挙の各選挙区の有権者数及び投票価値の一覧表】


選挙制度を改革せずに、非人口比例選挙を可能にする憲法改正を目指す与党
~平成26年12月26日付選挙制度協議会報告書が示すもの~


本件選挙の違憲状態判決で、国民主権を否定する憲法改正発議が可能になる
~「10増10減」改正法の附則7条 と 自民改憲案47条(非人口比例選挙条項)~

(3)最高裁判決に沿った内容での選挙制度改革せずに、憲法改正を試みようとする勢力
②附則7条において、「平成31年までに必ず結論を得る」との文言があること
(5)もし仮に、裁判所が、本件裁判で、違憲立法審査権を発動しないで、「違憲」判決を言渡さないとすると、日本の裁判所は、【(国会活動の正統性のない議員を含む)国会の憲法改正発議】という狂気の沙汰を阻止しないことになります。
②99条(裁判官の憲法尊重・擁護義務)、
③81条(最高裁の違憲立法審査権)、
④76条3項(裁判官の【憲法、法律に拘束され、良心に従って、独立して裁判する義務】
憲状態国会)が憲法改正の国会発議を行い、
②国民投票を経て、憲法改正が成立するリスク】があります。
君塚正臣横浜国大教授論文(判例時報2296号148頁)
高裁期日・判決(結果)
期日日程については、こちら↓のチラシをご参照下さい。
高裁判決(一覧)
裁判所 | 対象選挙区 | 判決期日 (2016/H28年) |
判決文 | 備考 |
広島高裁岡山2民 (松本清隆裁判長) |
岡山県選挙区 | 10/14(金)16:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
名古屋高裁金沢支部 (内藤正之裁判長) |
富山県選挙区、 石川県選挙区、 福井県選挙区 |
10/17(月)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
高松高裁2民 (吉田肇裁判長) |
徳島・高知選挙区、 香川県選挙区、 愛媛県選挙区 |
10/18(火)13:10 | (全文) (要旨) (骨子) | |
東京高裁19民 (小林昭彦裁判長) |
茨城県選挙区、 栃木県選挙区、 群馬県選挙区、 埼玉県選挙区、 千葉県選挙区、 東京県選挙区、 神奈川県選挙区、 新潟県選挙区、 山梨県選挙区、 長野県選挙区、 静岡県選挙区 |
10/18(火)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
福岡高裁宮崎支部 (西川知一郎裁判長) |
宮崎県選挙区、 鹿児島県選挙区 |
10/19(水)11:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
仙台高裁秋田支部 (山田和則裁判長) |
秋田県選挙区 | 10/19(水)14:30 | (全文) (要旨) (骨子) | |
大阪高裁5民 (中村哲裁判長) |
滋賀県選挙区、 京都府選挙区、 大阪府選挙区、 兵庫県選挙区、 奈良県選挙区、 和歌山県選挙区 |
10/20(木)14:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
福岡高裁那覇支部 (多見谷寿郎裁判長) |
沖縄県選挙区 | 10/20(木)14:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
広島高裁松江支部 (栂村明剛裁判長) |
鳥取・島根県選挙区 | 10/26(水)10:30 | (全文) (要旨) (骨子) | |
広島高裁4民 (森一岳裁判長) |
広島県選挙区、 山口県選挙区 |
10/28(金)14:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
福岡高裁3民 (金村敏彦裁判長) |
福岡県選挙区、 佐賀県選挙区、 長崎県選挙区、 熊本県選挙区、 大分県選挙区 |
10/31(月)11:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
札幌高裁2民 (佐藤道明裁判長) |
北海道選挙区 | 11/2(水)13:10 | (全文) (要旨) (骨子) | |
仙台高裁3民 (市村 弘裁判長) |
青森県選挙区、 岩手県選挙区、 宮城県選挙区、 福島県選挙区、 山形県選挙区 |
11/7(月)15:00 | (全文) (要旨) (骨子) | |
名古屋高裁2民 (孝橋宏裁判長) |
愛知県選挙区、 岐阜県選挙区、 三重県選挙区 |
11/8(火)16:00 | (全文) (要旨) (骨子) |
最高裁弁論
平成27年7月19日(水)午後1時30分。
快晴。猛暑。 午前中は山口弁護士グループの弁論が行われ、午後1時30分から、全国弁護士グループの弁論が行われました。
80名ほどの傍聴人が、弁論を見守りました。
原告側からは、
升永英俊弁護士、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士、原告本人、の4名が意見陳述されました。
被告側からは、舘内比佐志指定代理人が弁論されました。
弁論後、霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見が行われました。
会見の模様は、IWJさまが公開してくださっています。 とても有り難いです。
【升永英俊弁護士「違憲状態の選挙で当選した『違憲状態国会議員』。『違憲国会議員』が立法したり、憲法発議することは憲法は予定していない」―人口比例選挙を求める「1人1票裁判」の最高裁弁論後の記者会見で 2017.7.19】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/391189
![]() (クリックで弁論要旨全文へ) |
(傍聴人によるサマリー)Ⅰ 平成26年大法廷判決(参)は、【当該選挙までの期間内に、当該投票価値の不平等が是正されなかったことが、国会の裁量権の限界を超えていない、との判断】を付加しているとはいえ、『当該選挙は、違憲』と明確に判断した確定判決である。
Ⅱ 最高裁裁判官は、少なくとも、違憲違法判決を下すよう、憲法76条3項(「裁判官は、・・・・憲法および法律にのみ拘束される」)により、義務付けられている。 Ⅲ 緊急事態宣言条項の危険 Ⅳ 少なくとも、違憲違法判決を求める。 Ⅴ 司法権と立法権の関係の法理は、違憲である。 (Ⅰ~Ⅴのまとめ) Ⅵ 10増10減は、憲法違反である。 1 本件選挙(平成28年7月10日実施の参院選〈選挙区〉)の投票価値の不平等(最大較差(人口)1対3.077)は、平成26年1月1日現在の衆院小選挙区の投票価値の不平等(最大較差(人口)1対2.109)と比べて、劣後する。 |
![]() (クリックで弁論要旨全文へ) |
(傍聴人によるサマリー)1.私が本日特に申し上げる論点 私は株主総会や取締役会の運営、会社支配権を巡る係争事件など、コーポレートガバナンスを専門とする企業法務弁護士である。公正で民主的な企業の創出にはガバナンスの確立が不可避であり、その根幹をなす株主総会の議決においては、一単元株に対し一議決権を付与する議決権の平等が原則となる。議決権に差等を設けるには特殊な定款(企業にとっての憲法)の制定が必要である。この原則は国家ガバナンスにも当てはまる。憲法の基本である国民主権・民主主義の根幹が国民の多数決である以上、国会議員の選挙についても、一票の投票価値を同一とする人口比例選挙が大原則であり、憲法にこれを変更する特則はない。憲法56条2項に定める議員の過半数による議決とは、この大原則を前提とする。企業が如何にガバナンスを守っても、国民による国家ガバナンスが歪んでいたのでは、立法、行政、司法による国力の発展は期待できない。 私が当該選挙の無効を主張するのは、憲法14条に定める「法の下の平等」違反に基づく視点からではなく、国家統治機構たる国会の正統性の見地からの主張であることを理解されたい。すなわち国家ガバナンスの基本たる国民による普通選挙を保障すべき選挙区割りが「代議制民主国家の原則たる投票価値の同一性」に違反していることが選挙の違憲無効の理由である。 本件事件において司法が「合理的期間未徒過」や「事情判決の法理」など、それ自体が憲法98条1項に反する理由により、一票の価値を1対0.33とする現状を放置することは、最高裁が国民主権を否定することである。 2.憲法改正草案 |
![]() (クリックで弁論要旨全文へ) |
(傍聴人によるサマリー) 被告の主張は、以下の2点に集約されると思われるが、ともに理由がないと考えるので、この点について述べた後に最高裁判所の職責について弁論する。 第1に被告は、近時の最高裁が参議院議員定数配分について違憲状態と判断した論拠は、長期間にわたり5倍前後の大きな較差が継続してきたという点にあり、5倍前後の較差が大幅に縮小されれば、その最大の論拠が取り除かれたと評価できるところ、今回の選挙当日の最大較差は3倍をわずかに超える程度にとどまったのであるから、違憲状態とする論拠がなくなったと主張する。 第2に都道府県単位の選挙制度は、今日の我が国の社会情勢下において、その意義をますます増しているため、都道府県単位の選挙制度を維持することは、憲法上許容されると主張する。この点に関しては、特に、過疎地域に住む少数者の意見を国政に反映する必要があることを理由にあげている。 いずれも誤りであることを以下、述べる。 1.5倍前後の較差を大幅に縮小することができれば違憲状態の論拠がなくなるとする点 2.参議院は地域代表的性格を維持することが憲法の趣旨に沿うものであり、過疎地域に住む少数者の意見を反映させるために投票価値を後退させてもよいとする点 |
![]() (クリックで口頭弁論全文へ) (クリックで弁論要旨全文へ) |
【口頭弁論(全文)】「投票」 オバマ前大統領の演説に、よく出てくるフレーズがございます。 「Don’t boo. Vote.」 「ブーイングは止めよう。投票しよう。」です。 原告が、“等価値の1票” にこだわる理由が、凝縮されている一言です。 民主主義は投票。そして多数決ルールです。 好む好まざるにかかわらず、日本は、憲法で、民主主義と国民主権を定めた国です。 代議制民主主義では、選挙は、 代議制民主主義では、 だからこそ、私を含め、国民は、自らの意思が、“国会で多数派”となり、国政に反映されるべく、選挙権を行使しています。選挙は、立候補者同士の戦いだけではありません。 ところが、私は、生まれて一度も、憲法の保障する“全国民での等価値の1票”を投票できたことがありません。 日本に、国民主権、投票価値の平等を謳う憲法があるにも拘わらずです。 私の意思が、有権者の頭数では多数派となっても、選挙権が0.35票分しかないために、国会では多数派となりません。 この不条理が、選挙のたびに、繰り返されてきました。 国は、過疎地への配慮と主張しています。しかし、(資料2) でお示ししたとおり、本件選挙で北海道の国民は、0.43票分しか投票できていません。 国にお尋ねします。利尻は過疎地ではないのでしょうか? 国の政策に反映させるために、弱者の声を含め、広く国民の意見を聞くのは、あくまで、議論の段階で、行われるべきものです。 国会議員を選ぶ段階で、主権者、一人一人の、1票の価値を歪めることによって実現することではありません。このようなことは極当たり前のことです。 「違憲」 「違憲」は無効 (資料9)でお示ししましたとおり、オーストリアの憲法裁判所は、昨年5月の大統領選挙について、「形式的なミス」があったとして、選挙無効判決を言い渡し、大統領選挙は、やり直しとなりました。 また、(資料10)でお示ししましたとおり、米国でも今年の5月に連邦最高裁が選挙区割りを違憲判断し、区割りのやり直しを命じています。 どの国でも、三権がお互いに牽制し合い、戦っています。 独裁を防ぐためです。 法の支配が機能しなければ、選挙で独裁は防げません。 「民主主義は何もしなければなくなっていくもの」 本法廷では、既に、鬼丸裁判官、山本裁判官が1人1票の原則を明言されています。私はこのお二人の法律家の存在を、国民として大変誇りに思っております。 あと6名の裁判官が加われば1人1票判決です。 過ちては 改むるに 憚ることなかれ。(論語) 戦後70年、今、私たち、原告、国、裁判所が共にすべきことは、民主主義を学び、自らの手で、民主国家をつくることです。 今、“これぞ、日本の正義である”と言う判決、つまり、1人1票判決を、示して下さい。 |
国側の弁論要旨書 | (全文)PDF弁論要旨2頁11~20行 「 参議院においては、国民の多数の意見ばかりではなく、例えば、山間部などの過疎地域に居住する方々の声をも適切に反映させた施策を行うことなどもまた、重要な役割であります。介護の問題を例にとってみても、我が国全体としては、介護施設の数を増やし、介護職員の待遇を良くすることで、介護サービスの充実を図ることは重要でしょう。しかし、介護施設などが経営上維持できず、存在しないような過疎地に居住する高齡者の方々の悩み、例えば、日々の食料等の生活必需品の入手手段をどのように確保するのか、病気で伏せっていないかなど定期的な見守りをしてほしいといった悩みは、国民の多数の意見に従って、介護施設の数を増やし、介護職員の待遇を良くしても、何ら解消されるものではありません。」 |
最高裁判決
裁判所は、民主政治における投票価値の不平等の問題を喫緊の解決課題と位置づけており、判決文においても国に対し「速やかな」抜本的対応を求めていますが、国会は弥縫策を重ねる対応が続きました。
国際情勢は非常なスピードで変化し、国は常に敏速な対応が求められ、そのための国家権力の行使を日々行っています。
しかし、現在の選挙区選出議員(衆参)はいずれも、投票価値の不平等が違憲状態と最高裁が判断した選挙で選ばれた違憲状態議員です。
違憲状態判決は平成23年大法廷判決から5年連続、5回出ています。
今回、最高裁が6回目の違憲状態判決を出す意味はありますか?
最高裁は、憲法の番人として、国会議員の国家権力の行使に民主的正統性に疑義が伴うような国をこれ以上放置することのないよう、少なくとも今回の裁判で違憲判決を出す必要があります。
違憲判決が出れば、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を行うという憲法の予定していない事態を防ぐことができるでしょう。
今回の裁判で最も注目したい点は、
【裁判所は、違憲状態の選挙で選ばれた国会議員による憲法改正の発議を許すのか否か】です。
一人一票を望む私達主権者は、この最高裁大法廷判決で示される、一人一票に関する各最高裁判事の個別意見の情報に基づき、次回の国民審査を行うことになります

平成25年判決(衆)で、平成26年判決(参) 、平成27年判決(衆)の個別意見で、1人1票の原則を認められています。
但し、平成25年判決(衆)では、合理的期間による国会の裁量権を認め、結論は違憲状態の多数意見に賛同しました。その後の平成26年判決(参)、平成27年判決(衆)では、合理的期間は既に徒過したとして、当該選挙は違憲違法であると判断されています。

平成26年判決(参)で、1人1票の原則を認めた上で、当該は選挙無効と判断されています。
*岡部 喜代子裁判官及び*山﨑 敏充裁判官 は、
平成26年判決(参)の補足意見で、「投票価値の不均衡の是正は、議会制民主主義の根幹に関わり、国権の最高機関としての国会活動の正統性を支える基本的な条件に関わる極めて重要な問題」と述べ、「違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題と言うべきものである」と述べられています。
両裁判官は、本件投票価値の不均衡の問題が喫緊の重要課題であると明言した以上、前回判決から1年8ヶ月が経過した後も尚、その問題が解決しているとは言えない本件選挙につき、合理的期間を徒過しているとし、違憲違法と判断する可能性は十分予測できます。
【サポーター活動のご案内 ~ 判決日当日の流れ(予定)】
13:45頃 裁判所前パレード(0.6票君&しんさ君と一緒)
14:00頃 傍聴整理券配布〆切(予定?)
傍聴整理券配布開始時間及び〆切り時間は、追って最高裁より発表されます。(傍聴整理券配布〆切時間は、およそ判決の1時間前ぐらいと予想されます。)
- 開廷のおよそ15分前には着席 -
15:00~ 最高裁大法廷判決言渡し
15:15頃 終了予定
16:00頃? 旗だし(最高裁正門前にて)予定


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